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税理士・会計事務所

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コラム

2026.10.03

税務的な毎日

貸付用不動産の評価方法の通達案が公表されました

現在、相続税・贈与税における財産評価について、
貸付用不動産の評価方法の見直しについて通達案が公表され、意見公募手続が実施されています。

この案によれば、課税時期前5年以内に取得等した貸付用不動産について、
原則として、課税時期における「通常の取引価額に相当する金額」によって評価する
こととなります。

ただし、その不動産の取得価額 ≒ 通常の取引価額 と認められる場合には
土地については、取得価額に地価変動率を乗じた金額を基に
建物については、取得価額から償却費等を控除した金額を基に
その80%相当額で評価することもできるとされています。

今回の改正案の背景には、
現在の評価方法では不動産の市場価格と相続税評価額との間に大きな差が生じることがあるという事情があります。

その乖離を利用すれば、現金を不動産に換えることで、
相続税の課税対象となる財産の評価額を大きく下げることが可能となる場合がありました。
そこで、賃貸マンションなどの貸付用不動産を取得する方法が、相続税対策として広く利用されてきました。

資料には、相続開始の約2年8か月前に一棟の賃貸マンションを取得した実例が紹介されています。
この事例では、取得価額21億円に対し、現行の評価通達による評価額は4.2億円であったとのことです。

このような実勢価格と評価額の著しい乖離は「節税対策」と称して売り込みされ、賃貸ビジネスとしては成り立たないような不動産を購入してしまうインセンティブにもなっています。

また、今回の改正案では、
不動産特定共同事業などによる不動産小口化商品についても、新たな評価方法が示されています。


今回の改正は、一定の貸付用不動産について市場価格との乖離を是正するものです。
あらかじめ著しい乖離が生じにくい評価方法を明確にすることで、
納税者における課税の予見可能性を高める狙いがあります。

このような「市場価格と税務上の評価額との乖離」をめぐる見直しは、今回が初めてではありません。

代表的なものが平成30年度に固定資産税の評価額の按分方法の見直しです。
この見直しは、いわゆるタワーマンション節税を抑制するための改正でした。
タワーマンションでは、同じ建物内でも高層階と低層階で市場価格が大きく異なる一方、
従来の評価方法ではその価格差が十分に反映されないケースがありました。

また、令和6年には、居住用の区分所有マンションについて
評価乖離率などを用いて相続税評価額を取引価額に近付ける仕組みが既に導入されています。

さらに、今回の改正案と別に、専門家会合の中では、
平成8年に廃止された相続開始前3年以内に取得した不動産の時価評価の復活についての意見もあった点も
今後の動向に影響するのかどうか気になるところです。

こうして複数の仕組みを少しずつ改正することで、より公平な税負担を実現する方向へ進んでいるように思います。


税制は毎年改正されます。だからこそ、相続税対策を考える際においても
「税金をいくら減らせるか」だけを追い求めるのではなく、
その不動産が本当に収益を生み出せるのか、将来にわたって維持できるのか、
そして、相続したご家族がその財産をどうしたいのかという視点をこそ、大切にする必要があると
通達案の発出や専門家会合の議事録を見て改めて思います。

参考HP:e-GOV パブリックコメント
「貸付用不動産の評価について」の法令解釈通達(案)に対する意見公募手続の実施について
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?id=410080055

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