2026.08.23
税務的な毎日
兼業しても役員報酬が認められるか【法人税】
「不動産管理会社の役員を務めていますが、アルバイトを始めようと思っています。
アルバイトの時間が長くなると、役員報酬が税務上認められなくなることはありますか?」
このようなご相談を受けることがあります。
結論から申し上げると、アルバイトをしていること自体は問題になりません。
役員報酬は労働対価ではないため、単に兼業していることや時間が短いことをもって即時に否認される訳ではありません。
しかし、
アルバイトに多くの時間を費やした結果、役員としての職務をほとんど行っていないと判断されると、
役員報酬が税務上否認されるリスクがあります。
法人税法では、役員報酬を損金(経費)として認めるためには、
その報酬が役員としての職務の対価であり、金額も適正であることが求められます。
そのため、税務調査では
「本当に役員として仕事をしていたのか」
「その仕事内容に対して報酬額は妥当か」といった点が確認されます。
例えば、アルバイトが週30~40時間程度に及び、会社の経営判断や管理業務をほとんど行っていないような状況であれば「役員としての実態がない」と判断される可能性があります。
また、実際には月に数時間しか役員業務を行っていないにもかかわらず、高額な役員報酬を受け取っている場合には、「不当に過大な役員報酬」として一部または全部が損金不算入となる可能性もあります。
逆に、アルバイトをしていても、会社の経営方針を決定し、重要な判断を行い、
必要な管理業務を継続しているのであれば、役員としての実態を説明できる可能性は十分あります。
特に、比較的小規模な資産管理会社では、日常的な業務量がそれほど多くないケースも少なくありません。
会社の規模や業績も、役員報酬が過大か否かの判断に大きく影響を及ぼします。
税務調査では、勤務実態を客観的に示す資料が重要になります。
よって、必要な役員業務を適切に行っていることを示せるように準備しておくことが大切です。
例えば、取締役会や株主総会の議事録、取引先とのメール、契約書への署名、物件の巡回記録、
金融機関との打ち合わせ記録などは、役員として業務を行っていたことを示す有力な証拠になります。
また、アルバイトの比重が大きくなり、役員業務が明らかに減少するようであれば、
次の事業年度開始時に役員報酬の見直しを検討することも一つの方法です。
業務内容と報酬額のバランスを保つことで、税務上のリスクを抑えることができます。
このように、アルバイトをしているという理由だけで役員報酬が否認されることはありません。
「役員として何をしていたか」を説明できるかどうかは非常に重要なポイントです。
役員業務の記録を日頃から残し、実態に見合った役員報酬を設定することが、税務調査への最も有効な備えとなるでしょう。
